子供のころから
「ジャガイモの芽を食べてはいけません」
と言われてきました。
私も学校の先生から、母親から
「ジャガイモの芽はしっかる取るように」
と注意されてきました。
理由は「食中毒になるから」
子供の頃の私は安易に「おなか痛くなる程度でしょ」
くらいに思っていました。
でも、成長して大学で生物学など学ぶと、
もっと深刻だと物の本に書いてあります。
あと、芽だけではなく、陽が当たって緑になった皮も危ないと聞きます。
近年では「加熱すれば大丈夫」などとも言われています。
本当に大丈夫なのでしょうか?
ジャガイモの芽を食べることはそんなに危険なことなのでしょうか?
今回はジャガイモの芽の毒性についておはなしします。
ジャガイモの芽、加熱すると⁉
ジャガイモの芽が関係する食中毒の原因物質は
ソラニンとチャコニンというものです。
これらは天然毒素の一種で、ジャガイモの芽や、
陽が当たったジャガイモの皮で作られます。
最近になってソラニンとチャコニンは
170℃以上で分解すると言われだしました。
これは、一部正しく、結論として間違っています。
農水省のホームページ
「ソラニンやチャコニンの加熱調理による影響」によれば、
確かにソラニンとチャコニンの精製品は170℃で15分の加熱で
約8割が分解されます。
精製品とは例えばジャガイモから取り出した純粋な
ソラニンとチャコニンという意味です。
しかし、ジャガイモそのものを加熱してもそれほど分解されません。
例えば、ジャガイモを150分茹でてもソラニンやチャコニンの量に
変化はありませんでした。
茹でるということは約100℃で加熱するということです。
100℃程度ではソラニンやチャコニンは分解しないのです。
さらに170℃5分の加熱では科学的にはっきりとした減少はみられません。
210℃5分の加熱でようやく4割程度が分解されます。
でも6割がまだ残っているということです。
精製品と同じ条件で加熱すればもっと分解するかもしれません。
でも、焼きすぎ、揚げすぎで料理になるかどうかは疑問です。
また、ジャガイモの中まで170℃になっているかどうかは確認できません。
つまり、加熱では確実には分解できないということです。
芽や緑になった皮の下はしっかり取り除く。
などの対策をして調理してください。
ジャガイモの芽の有害性は?
ジャガイモの芽には天然毒素ソラニンや
チャコニンが含まれます。
これを許容量以上摂ると中毒症状を起こします。
具体的な症状としては下痢、嘔吐、腹痛、めまい、
頭痛などです。
実際、小学校の授業でジャガイモを茹でて食べて、
中毒を起こした例がいくつもあります。
場合によっては死に至ることもあります。
それでは、どこくらいの量を食べると危険なのでしょうか?
ソラニンやチャコニンは普通のジャガイモにも含まれています。
その量はジャガイモ100gあたり7.5mgくらいです。
しかし、ジャガイモの芽にはさらに高い濃度で含まれています。
その量はジャガイモの芽100gあたり200mgから730mgくらいです。
農水省のホームページによるとこれらの物質を50mg以上摂ると
健康に影響します。
さらに150mgから300mg取ると死亡する可能性もあります。
具体的に計算しましょう。
食中毒を起こす量としては、
ジャガイモ約700g、ジャガイモの芽なら7gから25g
さらに死亡する危険のある量としては、
ジャガイモ2kgから4kg、じゃがいもの芽20gから75gになります。
ジャガイモをそんなに一度に食べる人はそうそういないでしょう。
なので、ジャガイモの芽をしっかり取る。
緑になったジャガイモは食べない。
この2点を徹底すれば、安心してジャガイモを食べられます。
加熱したジャガイモの芽と生の芽
以上のようにジャガイモやジャガイモの芽を加熱しても
有毒性は消えません。
つまり、加熱しても生で食べても、
危険度はほとんど同じということです。
良く焼けば大丈夫という勘違いを真に受けず、
対策をとりましょう。
既に説明したように、調理の際の注意点としては、
ジャガイモの芽はしっかり奥まで取り除くこと、
緑色に変色した皮の部分もその下の実まで厚めに
切って取り除くこと。この2点です。
ジャガイモの保管が悪いと、
芽が出やすくなったり緑になったりします。
陽の当たらない涼しいところに保管するように心がけましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「ジャガイモの芽を食べてはいけない」
というのは迷信ではなく科学的根拠があります。
たくさん食べると食中毒のような症状や、
最悪死亡することもあるのです。
「加熱すれば安心」という話には科学的根拠があまりありません。
加熱してもしなくても危険度は同じです。
しかし、ジャガイモはしっかりと保管、
調理すれば安全な食べ物です。
上手に調理して秋の味覚、ジャガイモを楽しみましょう。
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